「啓発型パブリシティ」と「テーマ型パブリシティ」

「大義」に沿う話題は報道されやすい

メディアは、「報道を通じて世の中の役に立つ」という使命を考えて行動しています。そして、具体的な報道案件を決める際には、「なぜこの時期に、なぜこの話題を取り上げるのか」という「報道の大義」を説明できるかどうかが重要になります。

逆の見方をすれば、「世の中の役に立つ情報」で、今「この時期」に「この話題」を取り上げる必要があると思ってもらえれば、取材される確率はぐっと上がります。

「報道の大義」に沿う話題かどうかを判断する軸が、別稿で述べた6つの観点であり、そういう素材を見つけるヒントとして、フレームワークで狭めた象限ごとに考える方法を述べました。

基本的には、それらをプレスリリースにしたためてメディアに情報提供します。通常は自社のネタのみをリリースに掲載しますが、少し高度で、大きく取り上げられる可能性が高い方法があります。参考までに2点お伝えします。

「公益性/社会性」の重要さ

メディア報道では、特定の企業や商品の直接的な宣伝になることを基本的に嫌います。「社会の公器」として特定の企業や商品に肩入れするとみられるのが心外だからです。従って、「新商品が出来ました」だけでは、せいぜいリリース配信直後に、良くて新聞のベタ記事で扱われる程度になります。

メディアが知りたいのは、社会や視聴者/読者にとってどういうメリットがあるのかということですので、それらを上手くリリース(特にタイトル部分)で表現できるかが、報道の決め手となります。

新たな「公益」情報を届ける「啓発型パブリシティ」

更に突っ込んだ方法が「啓発型パブリシティ」と言われるものです。

メディアには「より良い社会作りに寄与したい」と考える人がたくさんいます。例えば、ハンディキャップや悩みを抱えた方々にも生きやすい社会につながる取り組みなどは喜んで応援してくれます。

そういう方々がどんな悩みを抱えているのか、社会が受け止めるためにはどういう課題を解決するのが良いのかなど、メディアの伝播力を通じて一般の方々に広く知ってもらい、感情的な障壁を軽減したり、一部は健常者にとって経済的な負担を生じる可能性のある解決策を受け入れる雰囲気を醸成したりする、すなわち「啓発活動」を行うのもメディアの役割と認識されています。

ある会社がそのような課題解決型の商品を開発したとしましょう。その商品で解決される課題がどれだけ社会の広い層に、潜在的・顕在的に存在しているのか、どれだけの人がその商品で救われるのか、非常にニッチな分野でメディアの方々も含めてあまり知られていないような場合は、企業サイドから「啓発」を行えば、取り上げてくれる可能性が高まります。

-啓発型パブリシティの流れ

その企業には、その商品を開発する際に蓄えたニーズに関する「知見」があります。最終的には商品が報道され視聴者によく知ってもらうのが目的であり、メディアも当然それはわかっていますが、それが見えすぎるとメディアも視聴者も引いてしまいます。先ずは問題の存在と、当事者がどういう解決方法を望んでいるかを、蓄えた知見を使って広く知ってもらう「啓発」に主眼をおき、その文脈の中で、解決策の一つとして自社の商品を紹介する流れが理想です。

「知見」が足りなければ、改めて、市場調査を行い、客観的なファクトとして提示します。また、その問題に関係する第三者(NPOの役員、大学教授、医師など)のコメントがあれば、ファクトに対する信頼度が高まり、メディアが取材先を見つける手間も省けるため、重宝されます。

問題の存在を認識したメディアは、独自の調査を行いますので、他社の類似商品を報道することが可能性としてはあります。ただ、そこはメディアも「仁義」を働かせて、情報提供した企業の商品を長く紹介してくれるのが普通です。

自ら「社会」情報を作りこむ「テーマ型パブリシティ」

メディア報道では特定の企業や商品の直接的な宣伝を嫌いますが、例えば、「コロナ禍の今、注目を集めている商品」、「近場で旅行気分が満喫できる知られざる穴場」といった一つのテーマで報道する際は、その具体例として複数の企業や商品を提示することが普通に行われています。

一社だけだとメディアの「引き」が弱い(=「報道の大義」を満足させることが難しい)場合は、自社を含む大きなテーマを設定して、テーマに沿う情報をパッケージにしてメディアに取材を働きかける手法もあります。

-魅力的なテーマの設定

TVの情報番組で日々報道されているいろいろなテーマや切り口をみると、いちばん大きな要素は「適時性」であることがわかります。そこに、現在進行中のトレンドが加わったり、あまり知られていないトリビアや蘊蓄的な情報が加わったりします。トレンドは一種の「新規性」であり、知られていない情報は「意外性」の側面を持っています。

このように、メディアが報道したくなる6つの観点と、自分が取り上げられる可能性を考えてテーマを設定します。情報番組がどういうテーマで報道しているかを見ると参考になります。

-情報のパッケージ化

テーマを設定したら、そのテーマに沿う自社以外の情報を集めます。情報を集めようとすると集まらなかったり、集まった情報を並べると実は別のテーマの方が相応しかったりするケースも出てきますので、そのあたりは臨機応変に対応します。

情報は、他者の事実ばかりでなく、そのトレンドなり情報の確からしさを補強してくれる第三者の評価があれば、より魅力的なものになります。

テーマと中身をパッケージ化して取り上げてくれそうなメディアにピンポイントで話を持っていきます。メディアがパッケージを気に入れば、自社以外の取材許可は基本的にメディア側がとりますので、気にしなくて結構です。

-自社の立ち位置はそこそこに

この方式ですと自社以外も当然報道されることになりますので、設定したテーマの中では、自社に比較優位性があることが、より望ましいと言えます。ただそれがあまり目立ちすぎると、宣伝臭が漂いはじめ、メディアも二の足を踏み、結局報道されないことになります。

啓発型パブリシティ同様、情報をパッケージ化して届けたこちら側への配慮をメディア側に期待しましょう。

<ご参考> 「調査型パブリシティ」

上記の2つの方法以外に、「調査型パブリシティ」というものがあります。「20代男女300人の●%が▲▲▲▲▲」といった形で、自社の商品の特長を裏付けするような、意外性のある調査結果をリリースにするものです。

最近はスマホで簡単・安価にアンケート調査ができるサービスを提供している会社もありますので、この手のリリースは増える傾向にあります。ただ、牽強付会の内容も多いらしく、メディア側も若干食傷気味だと聞きます。

データ取得の公平性を担保しつつ、仮説として設定した結論を上手く導き出せるような設問の仕方が非常に難しいところです。調査の結果、狙った結論に達しないことも当然出てきますので、マーケティング調査の一環として実施し、上手く何かが訴求できるようであれば活用するといったスタンスで行うのが良いようです。

「啓発型パブリシティ」と「テーマ型パブリシティ」
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