コロナ禍で各社とも業績が厳しくなってきている中、「宣伝広告費に予算をかけられないから、広報・PRに力をいれよう!」との社長の一言で、突然広報担当に任命された方、頭を抱えておられるのではないでしょうか。
広報活動は評判を高める活動
「広報/PRに力をいれる」といっても何をすれば良いのでしょうか。先ずは基本として「広報/PR活動」とは何かと言いますと、一言で表すならば、「評判を高める活動」ということに尽きると思います。ふだんから評判の良い企業であれば、商品の購入も含めて、いろいろな方々が支援してくれます。ぜひその企業で働きたいという人にも出会えるかもしれません。
評判を高めるには情報発信
評価をするのは他人ですから、その人たちに知ってもらわないことには始まりません。そこで情報の発信が重要になってきます。どの企業も、株主通信や学生への就職案内など、特定の相手に対する情報発信を行っています。それらも立派な広報活動です。自社のホームページを充実させたり、最近ではSNSを使ったり、情報発信のチャンネルも多様化しています。
そういう中にあって、新聞、テレビ、雑誌、ラジオなどのマスメディア(これらを称してマスコミ四媒体ともいいます)で自社に関係する良い情報が流れれば、量と質の両面で、企業の評判を高めることができます。
マスメディアでの報道の価値は?
近年のネットメディアの伸長により既存のマスメディアは長期低落傾向にあると言われています。新聞の発行部数減少、テレビの視聴率低下、雑誌の廃刊などが話題にのぼっています。
それでも、電通発行の「2019年 日本の広告費」のデータを見ると、2019年の全広告費の38.6%はマスコミ四媒体(同媒体のデジタル版を含む)が占めており、インターネットメディア(マスコミ四媒体のデジタル版を除く)の29.3%と比べると、まだ強さを誇っています[少し乱暴ですが、ここでは広告費の多寡 ≒ 読者・視聴者の量に比例と見做した議論をしています]。
マスメディアが何よりも強いのは、第三者である記者や編集者が、自分で確かめた情報を報道していることです。このため当事者が自ら発する情報よりも信頼性や質が高いものとしてとらえられています。マスメディアでとりあげられた情報はヤフーなどのネットニュースでも流れますので、量的にも発行部数以上の影響力を堅持しています。
従って、量と質の両面で、マスメディアでの報道を通じた情報発信は、今でも価値があると言えます。
具体的には何をするの?
以上から考えると、冒頭で述べた「広報・PRに力を入れよう」という社長さんの意図は、報道を増やしていくことと考えて間違いありません。しかも報道は無料ですから。メディアと関係を築いて報道につなげていく活動をメディアリレーション活動といいますが、その具体的な活動に関しては、別稿をご覧ください。
ただ、マスメディアは自社の評判に対する影響力が強いとは言え、報道されたとしても企業が発信したい情報の一部しかカバーできません。自社のホームページや定期刊行物など、ターゲットに直接情報を届けられる自社のツールを整備することも、広報活動での重要な取り組みです。
「広聴(こうちょう)」もお忘れなく
広報関連の書籍を開くと、「『広報』は、『広聴』に始まり『広聴』に終わる」と書かれています。また、「『広報(広義)』は、『広報(狭義)』と『広聴』の両輪で成り立つ」とも言われます。
「広聴」とは自社への評価を含めて世の中の声を幅広く聴くことです。情報発信(狭い意味での広報)をするにしても、先ずは「広聴」しなければ適切な情報発信はできない、情報発信をした後に、その反響を聴いて次の行動に反映させなければならない、という意味です。
一般的なビジネス用語の「PDCAを回す」と同様の意味合いです。「広聴」は独りよがりの活動にならないために確かにとても大事なことです。効果的な広報活動を進めるにあたり、心しておかなければなりません。