「メディアが報道したくなる6つの観点」で述べましたように、報道してもらうには、「なぜこの時期に、なぜこの話題を取り上げるのか」という「報道の大義」を満足させられるかどうかがポイントになります。
この企業の広報材料
今回の企業は頻繁に新製品を市場に出していく業種ではありませんので、広報の材料としては、経営的な側面を中心にメディアに情報提供しています。この企業の素晴らしいところは、女性活躍や子育てに力を入れられているところです。話題にのぼることが最近多くなった男性育休の制度もいち早く取り入れ、高い取得率・長い取得期間を実現しています。
「報道の大義」の合わせ方
今年の6月に昨年度の人口動態統計月報年計の概数が発表され、過去最少の出生数だったことが明らかになりました。新味には欠けますがその確定数が9月中旬に厚労省から発表されること、段階的に施行されている育児・介護休業法の改正中、「産後パパ育休制度」が10月1日から施行されることから、男性育休に関する報道の大義が9月から10月にかけて高まります。9月中旬に奥様が出産を控えた男性社員がいましたので、その社員の育休取得の様子を交えつつ、男性育休制度の運用状況を取材・報道してもらう働きかけを早い段階から行いました。
TV局への働きかけ材料
なぜこの時期に男性育休の話題なのかを示す背景情報、この企業を取り上げる意味合い(高い取得状況など)、男性社員のプロフィールと取材場所など、メディア側が取材可否を判断する際に参考となる情報をとりまとめて、複数のテレビ局報道部に個別にアプローチしたところ、調査報道色の強いTVQさんに取り上げていただけることになりました。
報道に至るまで
記者の方の事前取材で概略をご理解いただいた後、別の日にカメラクルーを交えて、育休に入る前の会社での雰囲気や本人の気持ち、部下の方々の育休制度への感想などの取材を行いました。お子様が生まれた後、お宅にお邪魔し育児協力の様子などを取材しました。最初にTV局にお声掛けして、ちょうど2ヶ月目での放送となりました。
報道内容
報道では、外部の識者やスタジオのコメンテーターの発言、司会者による育休制度説明などを交えて、全体では9分超の長い報道となりました。取材いただいた部分は6分程度使用され、会社のロゴや社名のテロップ、社内の和気あいあいとした雰囲気なども、ご夫婦の奮闘ぶりとあわせて報道されました。
この企業は現在の主軸事業参入後10数年と若いため、近年急速に業績を伸ばしているにもかかわらず、会社自体はあまりよく知られていません。今回、表面的には伺い知ることのできない生身の血の通った会社の姿を報道していただけましたので、企業の直接のお客様はもとより、取引先、求職者、社員など、幅広い層に好印象を与えることができたことと思います。