良質の材料の発掘が広報のポイント
企業のニュースを私どもからメディアに対して発信する際には、企業理念、事業の方向性、今後の商品・技術開発計画などについて、企業の方から最低限お聞きする必要があります。広報活動を戦略的に組み立てて企業ブランドを根っこのところから高めていくためには、これらに加えて、これまでの事業の取り組み、経営者の哲学、開発の推移、生産工場の状況、従業員の技能など、様々な観点で、ブランド向上につながるファクト(事実)を丹念に拾い上げて、複数のストーリーを継続して組み上げていきます。
ただ、これらのファクトは、企業の方に向かって「何か無いですか?」とお尋ねしても、そもそも企業自身が価値あるものと気付いていないことが多く、なかなか面には表れてきません。普段の何気ない会話の中や企業の現場に触れる中で、私どもがご指摘すると、「それが価値あるものですか?」と逆に驚かれることが多々あります。(『PR会社の仕事とは』もご参照ください)
経営・現場との密接なコミュニケーションが不可欠
広報の材料を組み立てて中身のあるものに仕上げていくには、経営者も含めて企業の方々との不断の会話がたいへん重要になります。メディアの方々への接触は、その中身が出来てからの最終工程に近い部分です。中身が魅力的で無ければメディアの方々も取り上げてくれません。
東京のPR会社にお願いする場合、料金体系は様々ですが、半年から1年間の契約で月あたり数十万円から高いところで業務内容が多ければ100万円を超えることもあります。もちろんそこには大手しか成し得ない詳細なマーケット分析や横文字を駆使したスマートなPRプラン、記者を網羅したメーリングリストなどの付加価値が含まれますので、それを求める企業には一概に高いとは言えません。これに加えて、交通費・宿泊費の実費などは企業側の負担になります。頻繁にお会いして中身を掘り下げて作り込んでいくという観点からは、費用の面でも時間の面でも自ずと限界が出てきます。
重要な地場のメディアとのコミュニケーションは地場のPR会社
メディアリレーションの活動対象となる大手メディア、特に雑誌等の出版社は殆どが東京にしか拠点がありませんので、東京の大手PR会社にお願いした方が良いと感じられる方もいらっしゃるかもしれません。PRに関する最新の情報や手法も使ってくれそうな気がするでしょう。確かに、東京に拠点を置くメディアの方々との人間関係深化のためには機動的に動ける東京に軍配があがります。私自身も「東京に居たならなぁ」と思うことがたまにあります。しかしメディアとの直接接触は、活動の最終工程の部分ですし、今は大半のやり取りが遠隔でも可能です。直接の接触が必要な場合は、その時だけ出張すれば良いのです。材料の仕込みにこそ時間をかけるべきです。
一方、全国紙(日経・産経・読売・毎日・朝日)や産業紙、NHKに情報提供する場合は、地元の支局や記者クラブに連絡することが原則となっています。地元のテレビ局や雑誌などのメディアも、会社の存立を支援してくれる非常に重要なステークホルダーです。地場の報道は全国にも伝播します。地場のメディアへの密な情報提供は地場のPR会社にしかできません。
総合的には地場のPR会社のメリット大
私自身、佐賀のOEMメーカー時代に東京の大手PR会社と短い期間でしたがお付き合いをした経験があります。そのあたりの詳細をここに記載することは出来ませんが、その経験から申し上げると、特に中堅企業の場合は、地場に根差したPR会社を選択するメリットの方が大きいと断言いたします。