競合ひしめく中、単発では記者の記憶には残らない

メディアの方々は日々様々な企業や製品の情報提供を受けています。東証・大証の上場企業だけでも3,600社以上、日本全国の法人数は260万社以上にのぼります。一日あたり300社以上からリリースが配られる時もあるようです。そういう中で、特に中堅企業がメディアの注目を得て、尚且つ、継続して関心を持ってもらうのは簡単なことではありません。

下の図は、メディアの方々の企業に対する関心度合の変化を、私自身の経験から模式的に表したものです。最初は記者の認知度がゼロの状態からスタートします。記者の目に留まる形で情報を提供することで、「こういう面白い会社や製品があるのだな」と瞬間的に関心をよぶことは出来ますが、一方で他社の情報も日々大量に入ってきますので、すぐに記憶は薄れていきます。

記事掲載は情報累積の上にある

記者の関心を引くであろう情報を継続して提供することで、ようやく御社が一つの像として記者の記憶の中に留まっていきます。記者は単発の案件では記事を書きにくいものです。その案件の背景、業界/同業他社動向や他社製品などの周辺情報に記者の切口を織り交ぜて一本の記事に仕立て上げます。御社のこれまでの活動がおぼろげながらでも記者の記憶の片隅にあれば、ある案件で情報を提供した際に一つの記事として、また、新聞の定期コラムや雑誌の特集として取り上げてくれる可能性は高くなります。

効果の表れる継続期間はケースバイケース

それでは、どれ程の期間継続すれば、その効果が表れるのでしょうか。こればかりは何とも言えません。私が新興企業の広報担当として活動を始めてすぐの頃、某新聞の支局長を訪問しました。丁度その支局長が九州内の各支局持ち回りで執筆しているコラム欄を担当するタイミングだったため、お会いして二回目で取り上げて頂いたことがあります。これは非常に稀なケースです。

例えば雑誌の特集ですと、雑誌により幅がありますが、企画自体が固まるのが発行の二か月から四か月前になります。その段階で、発信したリリースの内容がたまたま企画にあったものであれば、特集の中に入れて頂けることもあるかもしれませんが、そういう運の良いことはまず起きません。例えば1年ほどたって企画された特集の内容に御社の製品が合致したとしても、1年前に提供された情報なぞ、編集部の記憶からは無くなっているでしょう。

記者のためにも継続した情報発信を

しかし一方で、記者は紙面を充実させるためにいろいろな伝手を辿って限られた時間の中で情報を収集し取材を行い記事を執筆します。せっかくの良い素材が記憶の彼方に埋もれるのは、記者の方々にとっても損失なのです。何万社もの企業が紙面の掲載を求めて競争している中でチャンスを掴むためには、やはり「継続は力」なのです。

先ずは3か月に1度を目標に

その際に気を付けなければならないことは、記者にとって有用と思われる情報を継続することです。数にばかり目が行き中身がおろそかになれば『リリースを配信してもメディアが取り上げてくれない』状況に陥ります。社名を見ただけでゴミ箱に入れられては、却って逆効果です。内容を吟味しつつ、最低でも3か月に1回を目標として、リリースの形式でなくても構いませんので、メディアへの情報提供を心掛けられたら如何かと思います。

3か月に1回のペースで情報を発信するのは難しいとお感じでしょうか。新製品ばかりが情報ではありません。企業が活動していれば必ず材料はあるものです。客観的な視点からそれらを発掘することもPR会社の仕事です。